ドールアイがいい感じに完成したので、球形に仕立て、それを保持するアイギミック?を作っていきます。
先に結論から言うと、開頭なしの目線変更のみ実装で、スリープアイ仕様は諦めることになりました。
まずは完成したので半球アイを2つ組み合わせて、球形にします。
原型が10mm球なので、組み合わせた時にも同じく直径10mmになるように調整します。隙間が空いてしまう場合は紙などを挟んで調節します。
瞬間接着剤で固定して、隙間を透明レジンで埋めています。
継ぎ目は残ってしまいますが、これは次回改善すると言うことで。
ベースを高さちょいマシで作って削りながら調整し、接着してから全面コーティングするのがいいかもしれません。コーティングする時は継ぎ目に針金でも刺せばOKでしょう。
続いて、このアイを保持するためのパーツを作っていきます。ここからが本番。
流れとしては、視線変更を可能にするためのアイを受けるドーム型のパーツを作り、そこに本体に固定する支え部分を加えていく感じです。
まずはヒートプレスでアイ受けの半球ドームを作っていきます。
用意するもの
- 薄いベニヤ板
- 大きめの目玉クリップ4個
- プラ板0.5mm厚
- プラ板用の接着剤
- メラミンスポンジ
- エンボスヒーターまたは電気コンロ
ヒーターはこれを使っています。プラ板はセリアの縮まないやつ。
後半で使う0.3mm厚は100均にはないので、タミヤのプラ板セットをお勧めします。
プラ板用の接着剤はこれがオススメ。メーカーはなんでもいいですが、プラ板を溶かしてくっつける溶剤系の接着剤を使ってください。
他の材料や道具は100均で揃います。
ヒートプレスとは、温めたプラ板を型に押し付けて形を作る手法です。
やり方は色々なところで解説されていると思うのでそちらを参照してください。
ざっくり言うと、まず穴を開けたベニヤを2枚用意してプラ板を挟み、目玉クリップで固定。ヒートガンでプラ板を十分に温めたら型に押し付け、逆テーパー部分はメラミンスポンジで包むようにしてキュッと絞ってやります。これをプラ板が冷めるまでの数瞬でやるので、ちょっと慣れが必要かもしれません。
掃除機を使ってバキュームフォームにする方法も有りますが、今回は形状も単純なちょっとした成型なので、そこまでやる必要はないです。
ヒートプレスの型を用意しますが、アイにピッタリすぎると摩擦が大きすぎて動かしにくいので、原型の元となった10mmビーズをレジンでコーティングして直径を0.5mmほど大きくし、これを型にします。
今回は温めて粘性を落としたレジンにどぶ漬けして薄くコーティングし硬化する過程を2回繰り返しました。こうする事でレジンの偏りによる歪みを防ぎ、球面の精度を損なうことを極力防いでいます。
ちなみに精度が求められるのは先端の半球部分だけなので、下の方は歪んでいても大丈夫です。
また、カットする目安として、半球になる部分にラインを引いておきます。これはレジンでコーティングする前に引くと、ドームが汚れません。
いざ、ヒートプレス。プラ板はケチらず大きめにカットし、穴の隅々までよく温めるのがコツです。型はクランプなどを使いぐらつかないように固定しておきます。
よく温めたプラ板を押し付けるとこういう感じになります。裾をキュッと絞るのに、メラミンスポンジで包みこむように撫でてあげるといいです。メラミンスポンジ使うのは滑りがいいのとやけど防止のためです。プラ板は一瞬で冷めて固まってしまうのでスピード勝負です。
失敗したらそのままもう一回温めて型から外し、プラ板が平らに戻ったら再チャレンジしましょう。プラ板が折れ曲がってくっついたりしていなければ、1回くらいはやり直せると思います。
半球のところでカットし、
型から外します。型にしっかり密着しているので、隙間から空気を入れるようにして型から浮かせたあと、引っ張って外します。
切り口をヤスリで整えたら受けの完成。
結構隙間があってアイがカタカタ揺れますが、今の段階では気にしなくて大丈夫です。
続いて支え部分を作っていきます。
まずはアイを置いて、
受けを被せます。
上から見るとこんな感じ。アイが外側の側面に接している都合で、内側に傾きます。
ひっつき虫で仮止めします。
2mm×29mm弱にカットしたプラ板をアイギミックの溝に差し込み、受けを裏から支えます。
閉じるとこんな感じで支えが後頭部のネジ受け部分に引っかかって前に押される感じになります。これが結構重要なので覚えておいてください。
外から見て、アイと顔におかしな隙間がないか、またアイが動かせるか確認します。
アイを動かす際はこんな感じの吸着ピックがあるといいでしょう。
爪楊枝にひっつき虫をつけたものでも可ですが、アイに粘着が残る場合があるので注意です。
動かすときのコツは、少し押し込むようにしてアイを顔のパーツから浮かせて動かすことです。後頭部のネジ受けに押された支えがバネのような役割を担っており、力を加えない状態だと顔パーツに向かって押しつけるような力が働いているためです。これによって、受けに少し隙間があってもアイがカタカタしなくて済みます。
問題なければ、頭を閉じた状態のまま、受けと支えの間にプラ板用の接着剤を流し込んで固定します。
こんな形のパーツになります。
ひっつき虫を外して装着し、再度確認。
上手くいかなければ、支えをデザインナイフで削ぎ取って再度作り直しましょう。ドームは作り直すのが手間なので、切らないよう注意。
上下左右が変わると顔に合わなくなるので、印をつけました。
ここで完成にしてもいいのですが、もう一工夫します。
と言うのは、アイを動かす際に押し込む加減を間違えると、後頭部のネジ受け部分から支えが外れてしまう場合があるからです。そうなってしまうと、眼球が奥に引っ込んだまま戻ってこなくなる、開頭するハメになります。
そこで、ネジ受け部分に沿ってしか動かせないよう、ネジ受け部分をレールがわりにするためのパーツを加えます。
言葉で説明するとわかりにくいので先に写真を見せると、こんな感じになります。支えの裏側にパイプ状のパーツを取り付けて軸がぶれないようにするわけです。
まずは0.3mmのプラ板を4mm棒にしっかりと3周巻き付け、接着剤で固定してパイプを作ります。
1.5mm〜2mmくらいにカットし、
0.5mmプラ板に貼り付けて円形をキープします。このあとパイプの一部をカットするので、この工程をしないと、せっかくの円形が開いてしまいます。
こうなるので大事な工程です。
円に沿ってカットし、中に穴を開けて再び筒状に戻したら、一部をカットしてC型のパーツにします。内側の円の接線でカットすればOKです。
ここにぴったり嵌ればOK。ネジ受けに沿ってスムーズに動くか確認し、きついようならやすりで微調整します。
アイギミックを戻したらC型パーツと接着します。
こんな感じ。これで支えが外れてしまう心配はありません。
頭を閉じて視線を動かしてみます。
問題なしかな。一応これで完成です。
極力難易度が低く再現性の高い方法を考えてみましたがどうでしょうか。調整にもっと手間取るかと考えていたのですが、思ったより簡単な手順で作れる仕様になりました。
実際に使う中で何か問題が出てくればまた記事にします。
次回は顔を削っていきます。