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ミニチュア制作記録。たまに大きいものも。

プチブライス用のドールアイを作る【原型〜型取り編】

第2弾はアイギミックのカスタムです。

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デフォルトだと目を見開いた感じで、瞳の大きさが小さめなのと、目線が少し下を向いているので、ちょっと不自然で怖い印象もあります。

もちろんこれが本来のブライスらしい表情なので決して嫌いではないのですが。

 

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元々のアイギミックはこんな感じ。

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水平方向の軸で支えられており、後方の錘の働きで、仰向けになると目を閉じるスリープアイ仕様になっています。

 

カスタムの方向性としては、

  • 元のアイギミックにも戻せる
  • 黒目がちにする
  • 開頭せずに目線を変えられる

この3つを目指します。

プラスアルファで、スリープアイ仕様も残せないか考えていきたい。

大前提の3つは実現可能な見込みですが、スリープアイはなんとなく構想がある程度で実装可能かどうかはやってみないとわからないし正直微妙なラインです。

 

まずはドールアイの原型を作っていきます。

用意したのはダイソーの10mmのアクリルラウンドビーズ。

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素材はアクリルのものがいいと思います。ABS樹脂のものもありますが、形が歪んでいたり、素材に粘りがあって削りにくかったりします。

大きさについては、8mmや12mmの選択肢もあります。

12mmは元のアイギミックの径と同じですが、そのままだと内部の凹凸と干渉するのでサイドを削る必要があります。

実際合わせてみると以下のような感じに。

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半球シールで試しました。

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サイドをこんな感じで削って、

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合わせるとこんな雰囲気。

サイドを削る必要があるので、横方向の目線変更はほとんどできません。

元のアイギミックとほぼ同じような形状になるので、目線変更なしでスリープアイだけ残したいなら、これをベースにして瞼を追加し、軸と錘を付ければいけそうな感じもします。余力があれば別の機会にやってみようと思います。

 

8mmは今回試していないのですが、流石に元の大きさから直径が4mmも小さくなると目が飛び出して見えそうなので、やめておきました。ただ、ドールアイの周りに目線変更のギミックをつけるにあたって眼球を縮小する必要が生じる可能性もあるので、選択肢としては残っています。

以下は10mmで合わせたものです。

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径が大きいほど球面の角度は浅くなるので、目がアイホールから飛び出すような印象からは遠くなりますね。

光の当たり具合にもよりますが、個人的には10mmでギリギリ許容範囲という印象です。

とりあえず今回はこの10mmをベースに作成していきます。

 

まずは瞳の大きさを決めていきます。

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爪楊枝を穴に刺して、円定規を当ててシャープペンでラインを引きました。油性ペンでもいいですが、定規を汚したくなかったので…。定規がなければ別にフリーハンドでも大丈夫です。

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クリップで固定すると作業しやすいです。

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穴と瞳の中心をしっかり合わせておきましょう。穴は後に瞳孔のガイドになる予定です。

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合わせて大きさを確認します。写真は5.5mmの場合。良い感じなのでこの大きさで行きます。

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大きさが決まったら、もう一度定規を当てて針で線をけがきます。

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けがいた線にインクを乗せて、

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余分なインクを拭うと細く綺麗な円が描けます。

 

続いて、引いたラインをガイドに瞳を削っていきます。

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100均のネイルファイル。結構硬い素材なので、荒目のヤスリでゴリゴリ削って大丈夫です。

平面を出す必要はありません。円周をガイドに沿った綺麗な円にすることに集中します。リューターなどで綺麗な平面を出せるなら、同時に円周も正円になるので利用した方が楽でしょう。今回は手作業でやってます。


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一旦平らに削ったら確認し、今度は内部をすり鉢状に削ります。

本来虹彩はほぼ平面なのでこのままでも良いのですが、虹彩を彩る塗料や印刷した虹彩を使うことを考えて、ちょっと凹ませておきます。

虹彩部分の光の当たり方がグラデーションになるので、フラットに塗装しても印象的な瞳になるかと思います。

以下、実際に比較してみたものです。

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平面のままと、

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凹ませた場合。

平面は虹彩がパキッとした印象、凹ませた場合はふわっと陰影が乗りナチュラルな印象になるのがわかると思います。

どちらも良さがありますし、微妙な差ではありますが、虹彩にラメなどの光の反射を強調するものが入ると、より違いがはっきり出てくるかなと。

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瞳孔が奥に引っ込むことで奥行きも強調されて、好みな感じになりました。

削ってる写真は撮れなかったのですが、デザインナイフで瞳孔周辺から少しずつ削っています。

ナイフは固定したまま、爪楊枝を軸にビーズを回すようにして削っていくと失敗しにくいと思います。中心から始めて少しずつ外側に削り広げていく感じです。

もちろんリューターがあればより簡単に綺麗な仕上がりにできるでしょう。

 

削り終わったら最終確認。
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適当に色をつけて、合わせてみます。

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暗い色だと黒目がち過ぎるようにも見えますが、明るい色なら多分ちょうど良い感じになるでしょう。

ひとまず原型はこれで完了。

 

型取りをします。

一つのアイで表裏2色の瞳を切り替えられるよう、半円型を2つ組み合わせて球体にする仕様なので、半円の部分に印をつける作業から始めます。

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瞳と同様にラインをけがいて、ラインに沿って細く切ったテープを貼ります。これで型に半球のガイドができます。

 

半球のラインの出し方ですが、内径10mmの筒があるとやりやすいです。

詳細は割愛しますが、私は手元にあった筒状のケースを加工して画像のような治具を作りました。

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底に軸受けの穴を開けて、もう一つのビーズを反対側の軸受けに使っています。このビーズを縁から5mmのところで瞬間接着剤で固定しておけば、縁を使って半球のラインを引くことができます。

ちょっと力技な感じは否めませんが、そこそこの精度は出ます。

底のないパイプでやるなら、底の代わりにもう一つ軸受け用のビーズを入れてやればOKです。軸受けの間隔は3cmも開ければ問題ないでしょう。

 

型を取ります。

使用したのはブルーミックス。

粘土状の2材を混ぜ合わせるタイプで、少量から手軽に精密な型取りができるので大変重宝しています。

デフォルトでついてくる計量スプーンは大きめなので、少量で使う際には下のような形の粘土スケールがあると便利です。

厚紙で筒を作り型枠にしたら、2材を同量混ぜ合わせ、原型を押し付けます。

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上の画像のように、原型の凹んだ部分には先にブルーミックスを詰め込んでおくと気泡が入らずに綺麗に型取りができます。

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固まったら型枠から外し、原型を抜き取って縁を段差に沿って切り取れば完成。

 

次回はドールアイのベースを複製していきます。