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ミニチュア制作記録。たまに大きいものも。

プチブライスのカスタム【つけ耳・原型編】

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つけ耳の原型を作っていきます。

 

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素材はグレイスカルピー。凹凸が見やすいグレーカラーのオーブン粘土です。

時間で固まるエポキシパテとは違いオーブンで焼いて硬化させるため、時間の制限がありません。

リアル寄りな耳を作るのは初めてなので、じっくり作業できる素材を選びました。

 

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使う道具はこんな形のシリコンブラシです。色んなスパチュラも持っていますが、ことスカルピーに関してはこいつが一番使いやすいです。立てて使えば細い線、寝かせて使えばV字の溝や平面も造形できるので、大体これ1本で事足ります。基本これで造形して、無理な時だけ他の道具に持ち替える感じですね。

だいぶ昔に買ったのでこれは別のものですが、一番形状が似てるかな。

粘土を足したり減らしたりはデザインナイフを使います。刃が薄く先端が尖っているので、粘土の量の微調整がしやすいです。

 

さて。

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よく練ったら土台に盛っていくのですが、石膏はスカルピーの食いつきがあまり良くありません。

特にこういう小さいものだと、造形するうちにペラペラ剥がれてしまい安定して作業できないので、一度に全体を造形するのではなく、いったん最小限の粘土で包んだところで硬化してしまいます。

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こんな感じで包んで、100円ライターで炙ります。オーブンで焼く場合は135度で10〜20分とかなのですが、小さいのでライターでも十分固まります。

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久しぶり過ぎて加減を間違え、いきなり盛大に焦がしましたが、上から盛るので気にしない。

※後ほどエンボスヒーターで試したら上手く硬化できたのでそちらをお勧めします。

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耳の後ろを盛って、同様に炙って固めます。

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耳の正面部分は、大きめに丸めた粘土を縁を残して潰し、

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上から押し付けてくっつけます。

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こんな感じ。

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前側の半分はちぎります。

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耳の裏の段差を均します。

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耳の内側は結構難しいので、以下細かい作り方をメモしておきます。

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表面を整えた状態からスタート。剥いたみかんの房みたいな形です。

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①耳の一番外側の溝を刻みます。上半分は割と深めに、下半分は耳たぶに向けて消えていく感じに。上半分の終端は真後ろに向かってヘアピンカーブさせ、真ん中あたりで消える感じ。

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②ヘアピンカーブの先端の下に短い溝を刻みます。割と深め。

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③ ①の外側の溝に沿うように、内側に溝を刻みます。これも結構深め。まず下半分を刻んで、

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④上に伸ばします。上半分の終端はヘアピンカーブの内側に突き当たるようにします。上半分は浅め。終端が黒いのは深いからではなく、下地の焦げてる部分です。

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⑤ ②の溝を④の溝に突き当たらせて、その下を彫ります。彫った粘土は一旦前方にペロンと出しておきます。

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⑥ ⑤のペロンと出した部分を根本から折り返し、耳の穴に被さる軟骨部分を作ります。粘土が多すぎたらデザインナイフなどで切り落として調節します。

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⑦ヘアピンカーブの内側の④で突き当たった部分の上を二股にします。ここは浅め。

耳らしくなったでしょうか。人によって形は違いますが、構成は基本同じなので、モデルとなる写真などを見ながら溝の角度や深さを調整しましょう。

 

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出来上がったら同様に反対側の耳も作ります。

正確に同じに作るのはこのサイズではなかなか難しいので、ぱっと見の印象で違和感がなければいいと思います。

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下からと、

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上から。厚みや角度などが揃っているか確認します。

写真を撮り忘れましたが、顔に取り付けたときに正面から見て対称になっているかも確認します。耳が左右同時に見える角度なので、一番重要です。

気になる箇所はいくつかあるのですが、もう目と肩と腰が限界だったので切り上げました。

サクッと作ったように見えますが、上記の作り方をマスターするまで4時間くらいかかりました。

最終的に樹脂粘土で複製するので多少形が歪む可能性がありますし、色的にグレーが一番凹凸が目立つので、肌色になってしまえば気にならなくなるかなと。

どうしても気になるなら原型に追加で盛ったり削ったりできるので、一旦ここで良しとします。

 

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表面をラッカーに浸した極細筆で均します。これはスカルピーユーザーの間では割と一般的な方法ですね。

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使用したラッカーはこちら。

筆はこれを使っています。専用というわけではないのですが、筆が割れにくいようで何かと頼りにしています。

 

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完成したら硬化させます。流石に仕上げは焦がすわけにいかないので、今回初めてエンボスヒーターを使ってみたのですが、これがとても上手くいきました。

錘としてMDFボードに両面テープで固定し、エンボスヒーターで熱を加えます。

2〜3分程度で表面がマットになってきたら、一旦冷まして固まったか確認してください。尖ったもので軽くつついてみて跡が残らなければOKです。熱くなっているので注意。また、スカルピーが熱いうちは少し弾性があり脆いので、強くつつきすぎると刺さってしまうのでこれも注意。冷めるとちゃんと固くなるので安心してください。

 

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冷めたら型から取り外します。土台が若干逆テーパーになっていたようでパカっと取り外せなかったので、原型を壊さないよう、石膏にナイフを入れて切り落とし、中をほじくり出しました。

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ほじくり出したところ。当然このままでは耳に嵌められないので、逆テーパーになっている部分をくり抜きます。

縁が薄くなるので、うっかり壊さないよう気をつけましょう。

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くり抜いたらこんな感じ。

 

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実際に耳に取り付けて最終確認します。色が違うので変に見えますが、写真を撮って白黒に編集すると仕上がりを確認できます。

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うん。元の耳とはまた違った良さがありますね。

 

これで原型は完成です。

次回は型を取って複製していきます。