とっ散らかってるなあ。
これは、自分のブログを読み返してみての率直な感想である。
まあ思いつくまま書いているものだから無理もない。話はぽんぽん飛ぶし、文体も安定しない。出だしはやたら勢いづいているけれど着地点が定まらず、尻切れトンボで終わってしまう。
できることなら、芸人さんのトークのような面白くて勢いのある文章で、人の心を掴んでみたいと思う。
しかし、散々推敲して書いたつもりの文章でも「とっ散らかってる」と感じるのだから、私の文章力は相当低いのだろう。
面白くは書けなくても、せめて読みやすい文章が書きたいと真面目に考え、参考になりそうな本を探してみた。
それがこの本。
書店で中身を確認した。帯の文句がなかなかに刺さる。他にも何冊か読んでみたが、私が手元において今すぐに実践すべきだと感じたのはこの一冊だった。
全編にわたって多数の添削例が挙げられているので、具体的で分かりやすい。
内容の簡単な解説。
受け手発想で書く
人間ドックの案内チラシの推敲を例に、書き手が書きたいことを詰め込むのではなく、受け手の身になって書くことを具体的に解説。
文の基本形を確かめる
主語、述語、目的語を対応させるといった、基本的な文法の確認。
言葉を削れば、より多く伝わる
簡潔に書くための手法。重複の排除、余計な言葉の削除、より短い表現への変更、難しい言葉で飾らないなど。
文例を見ると、ここまで削っても伝わる、むしろ削った方が伝わるという事実に驚く。
読むそばからスラスラ分かるように書く
時系列に従って書く、修飾語は直前に置く、意味の狭い言葉を使う、曖昧表現や他の意味にとれる表現を避ける、主役を早く登場させるなど。
「読み返さずに理解できる文章」という点では、私の理想とする「トークのような勢いのある文章」にも通じるのではないかと感じた。
文を分ければ、スムーズに伝わる
日本語の文章は、文頭の主語を文末の述語で受けて初めて意味が成立する。そのため、主語と述語が遠い文章は読み手を疲れさせる。
主役の数だけ文を分ける、挿入句は別の文章にして添える、箇条書きを使うなど。
的確に書く
似た言葉の混同や意味の取り違えを防ぐと言った語彙の正確さや、能動・受動の使い分けなどの文法的な正確さについて。また、書きたいことと出てきた言葉とのずれ、動詞+「ことで」の濫用に注意など。
「てにをは」を使いこなす
これはそのまま。使いこなすことで人と人、物と物、人と物の関係を明確にできる。
読点は意味の切れ目に打つ
読点の打ち方について解説。長めの主語の後、長めの目的語の後、原因と結論の間、逆説に変わるところ、誤読を防ぐために必要なところなど。他、句点や中黒、3点リーダーなどの使い方。
たいへん分かりやすい。
共感が得られるように書く
読み手が五感を使って追体験できるように書く、強調語や凝った表現を使いすぎない、感動を押し付けない、体言止めを多用しない、具体的なエピソードや事実に語らせる、余計な前置きや結びを省くなど。
結構耳に痛い。
長文をスッキリ構成する
段落の骨子を整理することで、全体の構成を整えるための手法。
同じ話はまとめて書く、「しかし」の繰り返しに注意すること、前提となる事実を最初に書くなど。
視覚的効果と表記に気を配る
たとえば平仮名だけの文章は読みにくい。「視覚的な分かりやすさ=取っつきやすさ」の重要性についての解説。紙面のホワイトスペースや行間、見出しやレイアウトにも気を配る必要がある。
ブログの場合CSSなどのWEBデザインにも関わってくる部分である。
話し言葉の影響を避ける
「~の方」「~という形」「~の流れとして」「~に対して」「~自体」「~になります」「~していく」などの無用な飾り言葉の排除。
「考え(ている)途中」「話し(ている)途中」「正直(なところ)、」「結果(として)、」文頭の「なので」など、短縮された表現を避ける。
発言を曖昧にする逃げ腰表現を避けるなど。
この辺もうっかりやっていることが多いので耳に痛い。
文法などの基本的なことは分かっているつもりでいたのだが、文例を見せられて「あ、これも注意した方がいいのか」というものが結構あってひやっとした。やはり自分では気付かないこともあるものだ。
著者に添削してもらえれば言うことはないのだろうが、この本を元に自分で添削するだけでも、かなりすっきりと読みやすい文章になるだろうという確信が持てる。
文章力の底上げがしたい人にぜひ一読を勧めたい。