前回の続き。いよいよネット通販の大海へ漕ぎだします。
膨大な商品をなるべくもれなく拾うために。
ネットで探す場合、商品数が膨大なので、全部のデータをいちいち精査はできません。楽天では、レディースファッションジャンルのTシャツ・カットソーカテゴリで39万件以上のページがあります。価格5000円以下で絞り込んでも30万件。見てる間に夏が終わってしまう。
そのため、不要なものを除外するスキルが必要になってきます。
流れとしては、こんな感じ。
- キーワードや価格帯等、検索で弾けるものをあらかじめ除外する。
- サムネイル画像で明らかに駄目だと分かるものは見ない。
- サムネイルが良いものを開いてみて、寸法が載っているかを確認。載っていないものは即閉じ。
- 寸法を精査。この中にも優先順位があるので、駄目なデータが出てきたら潔く諦める。
- モデル着用画像を確認。実際の着用感、素材感を観察。
- ここまでクリアしたら購入候補へ。比較検討し購入するものを決める。
以下で詳しく解説していきます。
1.キーワードや価格帯等、検索で弾けるものをあらかじめ除外する。
まずは楽天のレディースファッションジャンルからTシャツ・カットソーカテゴリへ行ってみましょう。
上のリンクで商品一覧へ飛べます。
まずは、左側のメニューで、検索で可能な範囲の絞り込みを行います。参考までに、今日の時点の検索結果件数を記載しておきます。(全398,888件)
- まずは「コンディション」の「新品」をクリック。(212,601件)
中古品が消えてかなり減りました。 - 「Vネック」をキーワードに入れて、下の検索ボタンを押す。(13,633件)
- 「価格」に金額を入力して虫めがねボタンを押す。(10,736件)
今回は上限の方に「5000」を入力しました。安い方がいいからと価格を低く設定しがちですが、少し高めに設定しておきます。理由は次で。 - ついでに、「並び替え」で「価格が安い」順にしておきます。(10,736件)
こうしておけば、価格帯を広めに設定していても、安い方から順に見ていくことができ、価格の妥協点を少しずつ上げていくことも可能。1000円の商品を見つくしても見つからなければ、じゃあ1500円まで見るか…みたいに上げていけます。
とりあえずここまでが必須項目。この状態で1ページ目をお気に入りに入れておけば、探すのに何日もかかっても同じ状態からスタートできます。
※ここから先は、あまりおすすめしない絞り込みです。検索結果を必要以上に狭めてしまう可能性があります。
左側のメニューには、「ブランド」「カラー」「生地の素材」「ファッションテイスト」「サイズ」「袖の長さ」「生地の柄」「胸囲(cm)」「ネックのスタイル」など、デザインやサイズに関わる項目で絞り込みができるようになっています。これは「タグ」機能と呼ばれ、便利に思えますが、ちょっとした落とし穴があります。
分かりやすい例として、上記のとおりに検索設定した画面で、「ネックのスタイル」のところを見てみましょう。
「Vネック」というタグがあり、横に(270)と表示されています。これは、「Vネック」のタグを設定されている商品が、今の検索結果の中に270個ありますよ、ということなんです。当然ここをクリックすると、表示される件数は270件に激減します。
でもこれおかしいと思いませんか?だって、この画面は「Vネック」というキーワードで検索した商品1万件の検索結果画面なんですから。
これはどういうことかというと、ページに「Vネック」という「キーワード」が入っているページは1万件あるけど、その内「Vネック」という「タグ」が設定されているものは270件だけしかない、ということなんです。
出品者は、出品時に「商品名」や「価格」などを設定するわけですが、それと同列にこの「タグ」という項目があって、「どのタグでの絞り込みにこの商品を表示させるか」が設定できるようになっています。
ところが、「商品名」や「価格」などの必須項目と違い、「タグ」は入力しなくても出品が可能なため、設定していないショップは多いです。 タグが入力されていなければ、当然タグで絞り込みをかけてもその商品が表示されることはありません。
これくらい、まだ出品側には浸透しきっていない機能なので、不要に検索結果を狭めたくない場合はあまり利用しない方がいいかもしれません。
…なんでこんなことに詳しいかというと、以前楽天でショップ運営していたからです。ぶっちゃけ出品側からすると、この楽天独自のタグ機能は結構手間がかかり、ショップが敬遠したくなる気持ちもよくわかります。特に扱う商品数が多かったり、複数モールで同時出品する際は、商品アップ用のソフトがこのタグ機能に対応しきれていなかったりするので、つい後回しにされがちです。
この場合私が使ってもいいかなと思えるのは、タグ機能の導入初期からある「袖の長さ」と「カラー」くらいですかね。
- 「袖の長さ:半袖」で3300件(キーワードでは3700件)
- 「カラー:ブラック」で約2700件(キーワード3400件)
- 「カラー:グレー」で2200件(キーワード2500件)
- 「カラー:ホワイト」で3200件(キーワード3800件)
がヒットしました。この辺は、キーワードでの検索結果件数にだいぶ追いついてきているようです。
まあこの辺はお好みで行ってください。
2.サムネイル画像で明らかに駄目だと分かるものは見ない。
さて。検索でだいぶ絞り込めたので、ここからは一覧を1ページずつ見ていきます。
といっても、全部のページを見るにはまだ多すぎますので、サムネイルで明らかに違うな、と分かるものはそもそも商品ページを開きません。
サムネイルで分かる駄目なポイントは5点。
- 着幅が狭すぎるもの、ゆる過ぎるもの
- 首の開きが大き過ぎるもの、小さ過ぎるもの
- 余計な装飾が付いているもの
- 欲しい色の展開がないもの
- 丈が長すぎるもの、短過ぎるもの
こんな感じでぱぱぱっと見ていき、×じゃないものはとりあえず別のタブで開いておきます。一覧を何ページかこうして斜めに見ていき、別タブで開いたものがたまったら、まとめて詳細を見ていきます。
3.サムネイルが良いものを開いてみて、寸法が載っているかを確認。載っていないものは即閉じ。
これは書いてある通り。実寸が記載されていないものは即却下が無難です。
その他、開いてみた時点で気付くことがあればその場で閉じます。たとえば下の商品。
却下の例に使ってごめんなさい。あくまで今回私が探しているものにそぐわなかったというだけで、商品として問題があるわけではありませんので、念のため。
サムネイルだと良さそうですが、開いて大きな画像で見るとマチがごろっとして目立ちます。フィット感も、腕を寄せているポーズで気付きませんでしたが、かなりタイト目なようです。
モデルさんは見た目以上に実際の寸法が細いことが多いので、着幅や袖口幅を見誤ることが多々あります。モデルさんは袖口余裕あるように見えるけど、寸法見たら二の腕ピチピチサイズだったとか。最初に目が行くのはどうしても試着画像ですが、それよりも実寸を重視しましょう。
あと、特にどの商品とは言えませんが、雑誌から切り抜いてきたようなセレブ風モデル画像を使っているところや、いろんな店舗で画像が使いまわされているような商品は、モデルさんが着ている商品が実際の商品でない場合があります。モデル画像を元に、似せて作った商品のケースがあるからです。※実際、そういった商品を扱ってみないか?という営業を受けたことがあります。
もちろん、それらが全部駄目というわけではありません。大抵はきちんと実際に生産した商品を着せて撮影した画像だと思っています。そこら辺は、実寸の記載と齟齬がないか確認したり、スタッフの試着コメントや、店舗で撮影したであろう詳細画像等で判断していきます。
そのために、実寸表記がないものは即却下なのです。もしモデルさんのバストサイズや腕周りサイズまで記載があれば、それは信用していいと思いますが、そこまで書いてあるサイトはあまりお目にかかったことがないですね。というか、そこまで書いてあれば実寸表記くらいあるだろう。と思うわけで。
4.寸法を精査。この中にも優先順位があるので、駄目なデータが出てきたら潔く諦める。
上記画像の商品、さきほど一応寸法も確認してみましたが、3Lでやっと着幅44cm(88cm)ということなので、却下で正解だったようです。色展開も多いので期待して開いたのに、残念。
寸法は、まず着幅と袖口幅を見ます。ここが理想寸法を下回っていたらどんなによく見えても却下。丈も短過ぎるとどうにもならないので却下。
肩幅や袖丈に関しては一番難しいところなので、メジャーと鏡を用意して自分の体と照らし合わせながら確認します。
例として「肩幅40cm、袖丈15cm」の表記があった場合で説明します。
まず、メジャーを40cm出して、首の後ろにかけ、左右均等に肩の上に沿わせます。平置き寸は直線で測っているはずなので、なるべくピンと張ること。これで、まず肩の切り替えの位置が出ます。その状態でメジャーの「40cm」の部分を固定し、更に伸ばしたメジャーを腕の外側に沿わせ、40cm+15cmにあたる「55cm」の部分がどこに来るか見ます。これが袖口の位置になります。
こんな感じ。背中の丸み分若干の誤差は出ますが、それほど狂うことはないです。
あとは襟ぐりですが、これは実寸が記載されていないケースが多かったので、自分のフィッティング画像と、モデルさんの画像を参考に確認しています。
襟ぐりの逆三角形と、鎖骨の高さ、肩幅を元に比率を比べています。実際はこんな風に線を引いたりしません。こんなポイントを見てみたよ、というのを分かりやすくしたらこんな感じになりました。
この中で実寸があるのは肩幅(黄色い線)なので、そこを元に見ていきます。
まずは襟ぐりの逆三角形の上辺(襟ぐり幅)と肩の比率を見ます。③は明らかに上辺が黄色の線に対して短いですね。逆に⑥は長めです。
次は黄色い線の上半分と下半分の比率を見ます。肩から鎖骨の高さと、鎖骨からVの先端までの高さを比率で見るわけです。
これは、肩から鎖骨の高さはそれほど個人差が大きくないだろう、という推測に基づくものです。明らかに自分と違って見える場合は、首周りが極端な体型のモデルさんである場合か、姿勢が前か後ろに傾いている場合だと思われるので、何枚か画像を見れば判断がつくと思います。上の例の場合、③は若干前傾姿勢、⑦は少し胸をそらしている感じですね。
ここで、フィッティング画像より下半分が長く見えるものは深め、短く見えるものは浅め、と判断しています。
いずれもわずかな差ですが、何となく分かって貰えるんじゃないかと思います。
念のため、襟ぐりの広さは肩幅の実寸と比較、襟ぐりの深さは袖丈の実寸と比較して見ることも必要です。肩幅は試着編で出したので、そのためには、あと襟の深さの寸法を出しておく必要があります(下画像)。
実寸で比較する場合、なるべく正面・直立に近い画像で判断しましょう。身体が左右を向いている画像や腕を上げたり後ろに回している画像は向きません。
その他の判断材料としては、自分のフィッティングで「深さは鎖骨から指4本分」と分かっているので、モデルさんの指の幅と比べてみたりもしています。
色々面倒ですが、今回はこんな感じで確認しました。この方法がどのくらい正確なのかは、検証編のお楽しみということで。でも理論的にはそんなに外れてはいないと思っています。
5.モデル着用画像を確認。実際の着用感、素材感を観察。
寸法がクリアできたら、素材感を確認します。これは寸法確認より先にやってもいいです。例として、いくつか商品画像を挙げてみます。
まずは、しわの太さで生地の厚みを見ます。
③の右上○部分は、切りっぱなしの仕様で、生地の厚みが直接見えます。若干薄めかと。④も肩の前後切り替え部分に生地の厚みが出ています。右下の大きなしわもかなり太いので、厚めのしっかりした生地のようです。⑤と⑥はしわが太いように見えますが、下の方の○部分に細かい畳みジワが出ています。こういうのは薄い生地。厚い生地ではこんな細かい畳みジワはまず出ません。①②⑦⑧はほどよい厚みかと。強いて言うなら①⑦は若干薄め、②は厚めでしょうか。
次はしわの丸みから、生地の柔らかさを見ます。
①⑦⑧の腰部分には、カクカクと尖ったようなしわがあり、比較的硬めの生地に見えますね。②は全体的に丸っこいしわなので、厚みはあるけど柔らかい生地。③は①⑦⑧ほど尖った感じがないので、すこし柔らかめ、④は厚みを考慮すると硬めのような気がします。⑤は薄さの割に硬め?⑥はふっくらと柔らかい生地に見えます。
最後にバスト部分の丸みから、伸縮性を見ます。基本的に、伸びるものほどバストトップのしわのない部分が広くなり、伸びないものはバストトップに近い位置からしわが始まります。作り自体がゆるめだと判断しにくいですが、バストトップに限らず、肩や鎖骨、ブラジャーの上縁、ボトムのウエストやボタンなど、生地の中の出っ張りをどう拾っているか見ます。出っ張りをくるむように拾っているものは伸縮高め、尖ったように拾っているのは伸縮低めです。
伸縮性が高そうなのはまず②でしょうか。モデルさんのバストはそれほど大きくなさそうなのに、胸の両脇に横向きにしわが入っています。あとは⑥。ちょっと前傾姿勢にも関わらず、バストの丸みから縦にしわが落ちています。あと、腰のあたりを見ると重力にひっぱられているような感じがあるように見えます。③も若干伸びがよさそう。でも②や⑥ほどバストの丸みをひろっていません。伸びる生地なら、バストから縦に落ちるしわは、もっと下から始まるんじゃないかと思います。④は身体のねじれに無理やり引っ張られている感があるので、伸びにくい生地かと。厚みの影響もあると思います。⑤はバストトップからしわが始まっているので、それほど伸びは強くない。①⑦⑧はほぼ似たような感じで、比較的ぱりっとした綿100%Tシャツの印象に近いです。
こんな感じで判断していきます。ここでは分かりやすいように、特徴がよく出た画像を拾ってきて、その1枚で分かる範囲で書いてますが、実際は複数の画像を見て、判断に間違いがないか確認しています。
ストレート向きはある程度厚みとハリがあった方がいいということなので、④⑧が◎、①⑦が○な感じでしょうか。②⑥は表面がざらっとしていそうなので質感的にも向かない気がします。③⑤は滑らかそうだけど薄いがためにハリが足りない感じかと。
6.ここまでクリアしたら購入候補へ。比較検討し購入するものを決める。
これでゴールとなります。な、長かった…。まとめるのに画像を作ったりしたので思ったより時間がかかってしまいました。
で、今回購入したのはこちらの商品です!
これのMサイズとLサイズを1枚ずつ注文しました。ちなみに襟ぐり比較画像の②と、素材比較画像の⑧はこの商品です。
1枚じゃないんかーい!という突っ込みが入りそうですが、理由はこの後説明しますので許してください。
まず、今回かなり厳しめに見たので、実寸のすべてにおいてクリアした商品は、ネットは広大といえどさすがに見つかりませんでした。楽天以外も探したらあったのかな。でももう力尽きたし。
この商品も、「着幅:89cm」のLサイズで候補に残っていたのですが、裄丈は15+36.5+15=66.5cmと、理想の62cmを若干オーバーしています。まあこれは最悪詰める前提でいいとして。気になったのは以下の2点。
- 襟ぐりが画像で見る限り気持~ち浅めな気がする点。多分1cmくらい短いかも?
- 記載の「脇口幅:21cm」を身体に合わせてみたらちょっと広めに感じた点。
襟ぐりは洗濯で伸びる可能性も考えたら、このくらいは誤差の範囲と思うこともできるかなー?できるな、うん、きっとできる。と無理矢理納得しました。
問題なのはもう1点の方の脇口幅で、これが思いのほか広い!合わせてみたら脇の開きがバストトップの高さより下まであるようです。手持ちでほぼ理想形の黒UTで脇口幅を測ってみたところ17.5cmだったので、比べるとかなり広め。脇から下着が見えないか気になってしまいます。
そして重要なのが「脇口幅の下が着幅の採寸ポイントになる」こと。ということは、「バスト:89cm」はバストトップよりちょっと下の寸法になる計算です。となると89cmでは余裕があり過ぎるか…?という気がしてきまして。
こうなると逆に「着幅:85cm・脇口幅19.5cm」のMサイズの方にワンチャンあるのか?「理想寸以下は却下」の仮説通りに行くならLだけど…。
悶々と悩みましたが、仮説を立てる際に脇口幅については全くのノーマークだったので、この際その検証として両方購入してみることに決めました。
まあ駄目なら駄目で次回の参考にすればいいしね!どちらか1枚は(あるいは2枚ともか…)タンスの肥やしになる可能性が出てきてしまいましたが、実験企画の必要経費ということで割り切りましょう。送料無料1,090円なら安いものだ…。安いものだ…。
…というのが2サイズ購入の理由でございます。
他に、サイズ的に「惜しい!」というものはいくつかありましたので、他の方の参考までに、次回の検証編でおまけとして紹介したいと思います。